ハラスメント対策の難しさ

パワハラ防止法が今年4月から中小企業にも適用されるため、相談窓口を設置したり、研修会を行ったり、就業規則の服務規定を変更したり、会社は対応に忙しいことと思います。


パワハラ防止法というのは通称であり、法律の正式名称は「労働施策の総合的な推進並びに労働者の雇用の安定及び職業生活の充実等に関する法律」(労働施策総合推進法)です。初めて聞く法律名ですが、実は、旧雇用対策法(1966年制定)を改正して名称変更したものです。


雇用対策法というのは、国が行う雇用政策について規定された法律です。制定当時の1966年(昭和41年)はまだ経済成長のさなかで、労働力が不足しているところ、過剰なところがあり、労働力の需給調整が必要でした。30年近く、国が雇用基本計画を策定していましたが、時代が変わり、基本計画はなくなり、2000年以降は、女性の就業促進や障碍者の就労、青少年の就労などについて規定されてきました。


このような国の雇用政策が規定された法律にパワハラ防止を盛り込んだのです。


ところで、ハラスメントというと、どのような種類が思い浮かびますか?
パワハラ以外にも、セクハラ、モラハラ(モラルハラスメント)、マタハラ(マタニティハラスメント)、最近ではアカハラ(アカデミーハラスメント)など、いくらでも作り出せます。
言いだしたらキリがないともいえます。


今現在、法律で事業主に対策が求められているのは、セクハラ、マタハラ、育児休業などを対象としたハラスメント、そしてパワハラなのですが、それぞれが別の法律で規定されているのです。


セクハラやマタハラは男女雇用機会均等法、育児関係は育児介護休業法、パワハラはパワハラ防止法(労作施策総合推進法)です。
でも、ハラスメントは本来複合的です。複雑なんです。パワハラとセクハラとモラハラとマタハラが同時に起きることもおおありです。


個々の法律での規定だと対応が限定的で、抜け穴ができるのです。ひどいモラハラなのに、どこにも該当しないとか。パワハラとセクハラが一体化しているのにセクハラ要件満たさずとか、あるいはパワハラ要件満たさずだと、お茶を濁したような対応になってしまうのです。


また、ハラスメントに関しては、コミュニケーション不可となる、上司が委縮する、指導もできなくなるとか、とかく会社や管理職は極端に過剰に反応しがちです。


社員も、ちゃんとわかってもいないのに、乱暴な言い方に対して「パワハラだ」と言ってみたり、間違いを正された、叱られた、指導・注意を受けたことに対し、やはり「パワハラだ」と感じたり。


少し配慮を欠いた言い方であっても、それが即パワハラというわけではありませんし、ソフトな言い方でもパワハラとなり得ることもあります。


パワハラに関しては、そのやり方・言い方をしないと指導は不可能か、ということを基準にして自らを省みてほしいと思います。


セクハラなら、性的なことを言わなければコミュニケ―ションは不可能か?とか。


マタハラは妊娠前にそもそも言いなさいよ、協調性とかは!ってところでしょうか。


委縮しなくてもいいけど、少し振り返りましょう。



社労士myoumyoう

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